美の殿堂からベラスケスの作品がやってきた「プラド美術館展」兵庫県立美術館で開催中


スペイン国王のコレクションを核として、1819年スペイン・マドリードに開設されたプラド美術館、

伝統的な西洋絵画約7000点を所蔵する世界有数の美の殿堂として知られています。

今回は、ベラスケスの日本初公開5点を含む計7点の作品をはじめ、絵画と資料70点が展示されています。

※取材で伺い、会場内は許可を得て撮影しています。


ベラスケスとは?

1599年スペイン南部セビーリャ生まれ、12歳のころに地元で有名な画家の元に弟子入りし研鑽をつみます。23歳の時マドリードにでて、国王フェリペ4世の肖像画を描く機会を与えられたのが24歳の時。その際国王に気に入られ、まもなく王付きの画家に。その後王のもとで創作活動を続けていきます。

右 ディエゴ・ベラスケス

《狩猟服姿のフェリペ4世》 1632-34年 日本初公開


第1章 芸術

芸術は画家や彫刻家の手仕事ではなく、高貴で知的な作業である。17世紀のスペインでは「芸術」に対する意識や関心が高まりました。芸術家の自画像、芸術家を描いた肖像画などが並びます。

第2章 知識

西洋人が源流としている古代ギリシャ・ローマの哲学者、賢人、知識人などを描いた作品が並びます。

第3章 神話

古代ギリシャ・ローマ神話を主題とした作品たち。宗教の影響もあり、民衆に淫靡な感情を引き起こすと考えられていた裸体画は飾ることすら制限されていたそうです。その裸体画をフェリペ4世は多く収集し一つの部屋に集めて展示し、信頼できる人々とだけ鑑賞していたと言われています。


甲斐のおすすめpoint①

海の怪物の生贄に捧げられた、エチオピアの王女アンドロメダを救う英雄ペルセウス。

よく見ると、海の怪物はもちろん、その後ペルセウスが退治するメデューサや、その時生まれたペガサスの姿も!

左 ぺーテル・パウル・ルーベンス、ヤコープ・ヨルダーンス

《アンドロメダを救うペルセウス》1639-41年 油彩/カンヴァス

アンドロメダ座・ペルセウス座・くじら座・ぺガスス座は秋の代表的な星座たちです。展覧会の終盤10月初旬には、午後8時頃、南~南東の空にこれらの星座を見つけることができます。


第4章 宮廷

ベラスケスが宮廷画家として仕えたフェリペ4世は稀代の絵画コレクターで、3000点を超える作品を収集したとされています。彼は宮殿を二つ造営し、その内部を飾る多くの絵画を国内外から集めました。


第5章 風景

風景画は17世紀のスペイン画家たちの間では疎遠なジャンルでした。その一方で、王侯や絵画愛好家たちの間で人気でイタリアやフランドルの一流作家の風景画が大量に輸入されました。

そんな中、スペイン画家の中にも風景画を手掛けるものが現れます。

左 クロード・ロラン(バロック・フランス古典主義絵画の画家)

《聖セラピアの埋葬のある風景》 1639年頃 油彩/カンヴァス

右 ファン・バウティスタ・マルティネス・デル・マーソ(ベラスケスの弟子であり娘婿)

《アランフエスでの狩猟上覧》 1640年頃 油彩/カンヴァス


甲斐のおすすめポイント②

イケメンを探せ~!一体何人いるの?

デニス・ファン・アルスロート

《ブリュッセルのオメガングもしくは鸚鵡の祝祭:職業組合の行列》

油彩/カンヴァス マドリード、スペイン外務省に寄託

オメガングとは、ブリュッセルの全市民と宮廷が参加する宗教行列のこと。48の組合が9つのグループに分けられ、それぞれの守護聖人の像がついた印を掲げています。緻密で繊細です。


第6章 静物

17世紀スペインで大変好まれたジャンルが「静物画」でした。

ヤン・ブリューゲル(父)

《花卉》1615年 油彩/板


甲斐のオススメポイント③ 欲張ってはダメダメ

イソップ物語にも登場するよく知られたお話も、絵の題材となっています。

「ごちそうの肉を手に入れた犬。橋を渡るときに他の犬が肉をくわえているのを目にする。そっちの方が美味しそう・・・奪い取ろうとして『ワン』 自分がくわえていた肉は川へと落ちていく・・・そう、もう一匹の犬は川面に映る自分の姿、犬は自分の行為により食べる肉を失ってしまう」

欲張りはダメですぞ。

左 パウル・デ・フォス 

《犬と肉の寓話》1636-38年 油彩/カンヴァス


第7章 宗教

神の教えをわかりやすく民衆に伝える手段として描かれたのが宗教画です。聖母や聖家族、様々な聖人の殉教や幻視といった場面が描かれるようになりました。


甲斐のオススメpoint④

音声ガイド、プレゼンターは王子様・及川光博さん。いい味出してます!

作品をより深く理解するには必聴です。展覧会を見る時には音声ガイドが欠かせません。


甲斐のオススメpoint⑤

会場内に用意されている「こども鑑賞ガイド」は手にすべし!侮ることなかれ、とてもわかりやすく解説されています。

17世紀のスペインはまさに絵画の「黄金時代」

展示されている作品は大作ばかりで、その存在感に圧倒されます。

是非会場で、スペインだけではなくイタリアやフランドルの作品も合わせて、当時のアートシーンを全身で感じてみてください。

「プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」は

兵庫県立美術館で10月14日(日)まで開かれています。

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展覧会に行こう!甲斐千代子の取材日誌〜

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