風景画の銘品が勢ぞろい「プーシキン美術館展」国立国際美術館

ロシアの国立のプーシキン美術館。

所蔵品の数は約10万点で、これはヨーロッパ最大であり、エルミタージュ美術館次ぐ世界第2位を誇ります。

特別展「プーシキン美術館展-旅するフランス風景画」には、プーシキン美術館のフランス絵画コレクションの中から選ばれた65点が並びます。

風景画を、時間軸と空間軸、2つの切り口で眺めていこうというのが今回のこころみです。

第1部 風景画の展開-クロード・ロランからバルビゾン派まで(時間軸)

風景画を時系列でみていくことで、表現の変化、洗練されていく過程を追っていきます。

「風景」「自然」という表現は、長い間、絵の中の「背景」でしかなかったのです。絵画に登場する人物やモノの引き立て役であり、それ自体が主題・主役になることはありませんでした。

その「風景」が主題となる「風景画」というジャンルは、16世紀頃のネーデルランド(オランダ・ベルギー)に始まり、18世紀後半になってようやく定着したといわれています。

第1章 近代風景画の源流

第1章には17世紀、「風景画」の黎明期の作品が並びます。

展覧会のオープニングを飾るのは17世紀ローマで活躍した西欧風景画史上最大の巨匠の1人クロード・ロアンの作品です。後の「風景画」の原点の一つともいえる作品なんだそうです。

クロード・ロラン《エウロペの略奪》

1655年 油彩・カンヴァス

ギリシャ・ローマ神話を主題にしながらも、登場人物は手前に小さく控えめ。画家の関心の所在が、背景に描かれている壮大な海であることは容易に想像できます。


第2章 自然への賛美

絵画の中の「風景」「自然」は目の前にあるありのままの姿であるとは限りませんでした。画面に調和を与えるために、脚色がおこなわれていました。理想の姿を描いていたといってもいいのかもしれません。

そこに変化が現れたのが18世紀後半から19世紀にかけてのこと。自分たちの身の回りにある自然をそのままに、現実の風景を取り上げるようになっていきます。

ジュール・コワニエ/ジャック・レイモン・ブラスカサ《牛のいる風景》

19世紀後半 油彩・カンヴァス



第2部 印象派以後の風景画(空間軸)

何が描かれているのか、風景をどのようにとらえているのか、そのあり方を探っていきます。

描かれる風景は、画家たちが住むフランス・パリから、郊外、南仏・地中海、そして海の向こうへと広がっていきます。その過程で、風景のとらえ方も変化していきます。

第3章 大都市パリの風景画

19世紀の「パリ大改造」では、広い大通りが設置され、道路網の整備が行われ、街区の内側には中庭を設けて緑化を行い、パリは開放的で衛生的な街に整備されました。

パリに住む画家たちは近代化された街を歩き、様々な風景を絵にしました。

ジャン=フランソワ・ラファエリ《サン=ミシェル大通り》

1890年代 油彩、カンヴァス


第4章 パリ近郊-身近な自然へのまなざし

パリ大改造に伴い鉄道網が整備されていきます。画家たちも比較的簡単に遠方に足を運ぶことができるようになります。都市化するパリの街。対照的な自然あふれる郊外の町や村でなどでも創作活動が行われました。

クロード・モネ 《草上の昼食》 1866年 油彩、カンヴァス

第5章 南へ 新たな光と風景

画家たちは更に行動範囲を広げていきます。南フランスの光に照らされる景色、きらめく地中海。パリとその近郊では目にすることのできない「その土地ならではの景色」を、画家たちは新鮮なまなざし手とらえ描いていきます。

ポール・セザンヌ 《サント=ヴィクトワール山の平野、ヴァルクロからの眺め》

1882-1885年 油彩、カンヴァス


第6章 海を渡って/想像の世界

現実を離れた想像の風景。想像の風景は時空を超えるのです

楽しみ方① 写真撮影可能な曜日と時間帯がある

通常の撮影スポットの他に、なんと、金曜日と土曜日の夜間開館中(午後5時~9時)は会場内の写真撮影が可能です(一部、撮影不可の作品あり)。他の人の迷惑にならないように注意してくださいね。フラッシュや三脚・セルフィースティックの使用はできません。その他、スタッフの指示に従って気持ちよく写真撮影、作品鑑賞を楽しんでください。

楽しみ方② 自由研究にいかが?「鑑賞ノート」

中学生以下のお子さんには入場の際「鑑賞ノート」がプレゼントされます。

が、ここで注意すべきことが。会場内で使えるのは「えんぴつ」のみ。ペンは使えません。ですので、鉛筆と消しゴムを持参しましょう。夏休みの自由研究になるかも。

『プーシキン美術館展-旅するフランス風景画』

国立国際美術館(大阪市北区中之島)

7月21日~10月14日

詳細は公式HPで↓

http://pushkin2018.jp/



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展覧会に行こう!甲斐千代子の取材日誌〜

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